- 募集期間
- 9月下旬~11月
- 定員
- 12名
- 所要時間
- 4時間程(日帰り)
- 体験参加費
- 8,000円
- 最少催行人数
- 4名
渋くて、固くて、食べられない。
それを甘くするのが、佐渡の冬の風と、昔の人の知恵だ。
おけさ柿は、そのままでは食べられない。
渋い。強く、舌に残るほど渋い。
種もない。甘くもない。どう見ても「失敗作」のような果物だ。
なのに佐渡の人々は、何百年もこの柿と付き合ってきた。
その知恵が、干し柿だ。
皮を剥いて、吊るして、風に当てる。
ただそれだけのことが、渋みを消し、糖を引き出し、表面に白い霜を呼び寄せる。
この体験は、4時間で終わる。でも、本当の完成は、あなたが帰ってから数週間後に届く。
この体験では、干し柿づくりを一緒に行い、佐渡の潮風でじっくり熟成後、お客様のご自宅へ郵送させていただきます。
「おけさ柿のこと」
佐渡島の南部、羽茂エリアの丘陵には、秋になると柿の木が橙色に染まる。
「おけさ柿」と呼ばれるこの品種は、種がない。
渋い。でも、佐渡の民謡「佐渡おけさ」にちなんで名前をつけられたこの柿は、島の人々に長く愛されてきた。
なぜ渋柿を作り続けるのか。
答えは、干し柿にするためだ。
渋みの正体は「タンニン」だ。この成分は、皮を剥かれた柿が酸欠状態になることで化学変化を起こし、無味無臭の物質に変わる。
つまり干し柿は、化学反応を使った「自然の魔法」だ。
古い農家の軒先に並ぶあの橙色の塊は、科学の実験でもある。
「皮を剥く、という行為」
体験は、柿の皮剥きから始まる。
包丁を当てて、ゆっくりと回す。つるんと橙色の実が現れる。
剥きたての柿の香りが、手にまとわりつく。甘くはない。でも、どこか懐かしい匂いがする。
剥いた柿を縄に結んで、吊るす。
その瞬間から、柿は佐渡の風と光の管理下に入る。
あなたの仕事は、ここで一度終わる。
「あとは佐渡に任せるんですよ」
「佐渡の潮風と冬の寒さが、この柿を変えていく。うちらが作ってるんじゃなくて、島が作ってる感じですよ」
「完成は、帰ってから」
数週間後、あなたの自宅に箱が届く。
開けると、あの日自分が剥いた柿が、別物になっている。
橙色が濃くなり、表面が白い粉をまとい、触るとしっとりと柔らかい。
口に入れると——甘い。
あの渋さがどこへ行ったのかと思うくらい、純粋に甘い。
それは単なる「お土産」ではない。
佐渡の風と時間が変えたものだ。
あの日、自分の手で剥いて吊るしたものが、旅の記憶と一緒に熟成して届いたものだ。
一切れ食べながら、あの日の羽茂の空気を思い出す。
不思議なことに、記憶まで甘くなっていた。
旅は、帰ってからも届く。
この体験の完成は、佐渡を離れたあとにやってくる。
玄関に届いた箱を開けた瞬間に、旅がもう一度、始まる。
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